TD124の心臓部とも言えるこの長方形の4極インダクションモーターは、他の古典的リムドライブプレイヤーに比べて小型のものですが、5kgのプラッターを軽々と回す事ができます。
ほかの多くのリムドライブプレイヤーのモーターはトルク重視がほとんどですが、トーレンスのモーターは馬力タイプといえます。 これはベルトアイドラー方式という独特の駆動方法をとっているためです。 しかしこのモーターは適切なレストア、
エージング、チューニングによりトルクを増大する事が可能なのです。
レストアを依頼された数十台のTD124のモーター部の不調はすべて経年変化による不具合が主な原因です。 それらは
次の3つのタイプになります。

A オイルがまったく抜けてしまって回転するがノイズが多く、トルク不足。 負荷変動に対して特に弱く、したがって
定格回転に達する時間が遅く、ストロボによる回転数のふらつきが顕著である。 ベルトをはずし33回転スイッチONののちOFFで4〜10秒ほどしか回らない

B 
モーター内部のオイルが変質硬化し固まっている場合、回転不良で同様のテストにて2〜6秒しか回らない。

C 粗悪なオイルを注入されたもの、大体は自動車用オイルが注入してあることが多いのですが、このオイル注入が裏目に出てしまい内部のサビ、古い硬化したオイルと結合して回転に支障をきたしています。 同様のチェックで4〜10秒ほどで止ってしまいます。

以上がおおまかなモーターの不具合の原因ですが、まれに良いコンデションのモーターでも、同様のテストを行うとその止り方がよくありません。 良いものはローターの回転エネルギーがゆっくり失われていくのですが、この良いコンデションモーターでさえ回転エネルギーの消失が早く、ローターがねばらずにピタリと止ってしまいます。 これでは真のトルク、ねばり強さを生むことはできません。 正確で力強い腰のある音を出すためには、真にこの部分にかかっています。 これらはモーター本体を完全に分解しなければ知りえないことです。


<BACK>



モーター部の構造と各パーツの働き