モーター本体は四隅を四本のボルトで組み立てられ、そのうち2本はシャシー上部まで伸ばされたシャフト状になっています。 
反対側にモーター上部より伸ばされたステーにもうけられたシャフト1本、全3本で三角板、振動防止ゴムを介して丸型座金とEリングにより、モーターを垂直に安定した形で固定します。 モーターは、シャシーには接触することなくモーター本体の自重により吊り下げられた状態で、プーリー、ベルト、ステッププーリーの3点と回転時に互いにバランスを取ることにより、的確な動作を行うようになっています。 そのためにゴムベルトの品質の良否が重要になります。 上部モーターカバーには、中央にロータースピンドルシャフト用の穴とそのまわりには4ヶ所の放熱用の穴があけられ、隅にモーター用電源コードが引き出されています。  
下部モーターカバーは、上部同様4ヶ所の放熱用の穴と中央にロータースピンドル受け金具が外付けとなって取り付けられています内部中央部は中央部にロータースピンドル用の穴があり、両側にはシールドされたコイルが入っています。 長方形のこのモーターはその形ゆえに組み立て時に、長方と短方の振動モードを変化させることが可能となり振動ピークの低減を計りながら振動の鳴きを、きわめて上質なものに変換する事ができます。 ローターは中央に鉄製の円筒形のものに斜めに浅いスリットが入れられたもので、最初期型のものではバランス用のビスコロイド状の塗料は塗られておらず、初期型以後のみ下方に薄く塗られています。 
上部スピンドルシャフトは、その上部にプーリーを取り付けるために長くなっています。 
下部は、短いもので先端にベアリングボールがはめこまれ、このボールはエージング時のローターの回転と外部からの刺激による呼び込みにより固定され、ベアリングボールは外部取り付け金具に内側からそう入されたビニールプラスチック系チップに当たり、
回転時のロータースピンドルの圧力により中央にボールによる窪みが発生しセンター取りが自然に行われます。 
そのため、このチップは適度なやわらかさをもたせた材質になっています。 オイルレス・メタル(通称ピーナツ)保持部分は、
モーターカバー内側に一組づつ取り付けられ、その構造はピーナツ大・小フエルトリング、星型ワッシャー金具です。 
ピーナツは上・下モーターカバー内側に専用のホールド部にはめこむようになっています。 大・小フェルトはそれぞれピーナツの
二次的な保持とクッション材として、またオイル溜めの役目をしています。 星型ワッシャーは、ピーナツを最適の位置へ固定すると共にその羽根の部分がホールド金具の内面に当ることにより最適な圧力をピーナツに与え、許される範囲内での自在性をもたせています。これによりモーター組立後の作動において自動的にオートバランス状態を発生させる大変重要な役割をもちます。 
前途のベアリングチップの当りの発生と相まってピーナツの内壁に当ることなくスムーズな回転が得られるのです。 
この部分の良否がモーターノイズの発生に深くかかわってくるので、根気よく最良の状態が得られるまで調整しなければなりません。
また組立後のエージングもオイルの注入は時間をおいて数度に分けて行ないます。 モーターカバー上部のローターシャフト穴へのオイルの注入は、その下にローター本体があるため少量ずつの注入となりますが、モーター下部ベアリング部はモーターはたっぷりとオイルを注入すべきです。 
それはモーター全体をクリーニングしたため、オイルのまったくない状態で金属部品がオイルを吸い込んでしまい、少量では潤滑分として機能しなくなるためです。 この様に行えばエージング期間中にモーターカバー下部より徐々にオイルが流れ出てきます。 
それを拭き取りながら少しずつオイルの注入量を減らし、モーターの完成を待たなければなりません。 組み上げられたばかりの
モーターがりっぱに育つには時間がかかります。 さらに長期に渡る安定性を確保するために、このアタリの出たモーターを最初と
同様の工程で再度分解し組み上げる作業を行います。 モーター部の主要部品であるオイルレス・メタルの再使用については、
その内側スピンドルシャフトの入る部分が錆びている場合、原則的に再使用は可能です。 そのモーターはセンター取りが良い状態なのでオイルレス・メタルは磨耗していないと思われます。しかし錆が発生しているために研磨の過程でギャップが広がる可能性もあります。 この場合モーター全体の振動が増す事も考えられますし、経年変化による歪み等もありうることなので新品部品と交換した方がリスクは少ないでしょう。



<BACK>

モーター部パーツの役割