先ごろ、お客様より到着したTD124からオイルが流れでているとのお便りがありました。この場合、輸送の際におそらく
梱包したTD124を横にされた可能性があります。 この事は宅配業者にたずねた所、いくつかの中継ポイントでどの様なあつかいをされたか知ることは出来ないとの返事でした。本当はオイルを必要最小におさえてお客様にお届けすれば良いわけですがその場合、お客様がオイルの注入を行わなければならず、それを要求するのは妥当ではないと私は思うのです。 又、スイスから送られてくるこのオイルは大変高価であり、使用を控えればコスト的に楽なのですが、お客様が通常の使用で向こう1年くらいはノーメンテナンスですむよう、必要以上にオイルを注入してあります。 ですからまず梱包をほどいたらオイルのチェックを行ってください。 もし、内部の回転部プーリー、ステッププーリー、アイドラー廻りのシャシーにオイルが流れていたらAベンジンにてふきとってください。
センタースピンドル上部のオイルだまりは少し横にされただけで流れてきます。 クイックスタートの3本のネジから上面にオイルがしみだす事も稀にありますが、このクイックスタートを作動させる3本のネジは大体錆びており一度はずしてクリーニングしないと内部シャシーと錆びでくっついて回らなくなってしまいます。 
しみだしたオイルはクイックスタートを作動させる場合の潤滑として働きますが、不必要な分は拭きとってください。
この事はトーレンスTD124の長期安定を考えてのレストアするものの良心と思っていただきたいのです。
モーターには充分なオイルを注入してありますので、物によってはまだオイルから吹きだしてくるものもあります。
たまに拭きとってください。 回転切換レバー下部もまれにオイルがたれてくる事もありますが、これは使用しているうちに内部の不要なオイルがしみだしてくるものです。ですからオイルもれが気になる方は、下に布をひいたほうが良いでしょう。
トーレンスTD124が現在までその姿をとどめ、なおかつ、レストアにより往時と変わらずよみがえって使用にたえるのは
オイルとグリスで動くという昔ながらの機械としての特長をもっているためであります。
トーレンスTD124は、現代のCDプレイヤーやDDモータープレイヤーとはまったく異なった性能を有するものである事を、
お客様が理解をしていただければ必ず期待にそえる働きをいたします。
機械は正直なものでそれなりのあつかいをすれば、けっして持ち主を裏切る事はないのですから。



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トーレンスTD124のレストア時におけるオイルのしみだしについて