このユルク・ショッパー製作スピンドルは、今まで当社に於いては不具合の生じたTD124スピンドルの代替品、または
EMPORIUMシリーズにおける音の選択肢のひとつとして販売しています。
ユルク氏の話やヒアリング等においてその性能の優秀性は承知していましたが、その高性能がかえってあだとなり、いかに取り扱かうべきか、正確な評価を求めようと思い、スイスのユルク氏への質問状を書いたのです。
不調のスピンドルの代替品として製作したと思っていたものが、実はTD124プロトタイプのスピンドルを再現したものだったのです。 このTD124プロトタイプはトーレンスの元技師のジャック・バッセ氏が所有していたものであり、ユルク氏は
この他2台のプロトタイプのTD124型を研究し、その中から最上のものをモデルとして製作したとの事でした。 このスピンドルの特長は鉄製の一体型となっているということがあげられます。 製品として発売されたTD124はスピンドルボックスの内側にはメタルとプラスチックの二種類の部品がはめこまれた仕様になっていますが、このユルク氏の超精密センター・スピンドルはそれがなく、そのために前途の2種類のスピンドルに比べ、さらに精度が要求される事になります。 
その為、製造コストと製造時間の関係でトーレンス社に於いてはTD124に搭載する事を断念せざるを得なかったのです。 なにしろ、このスピンドルボックスを製作するには丸一日かかると言われています。 この様に、製作に大変コストのかかるスピンドル部をユルク氏が求めた理由は、あくまでボトムエンドにおいて音の明確さと鮮明さを求めたためです。
 しかし、この事によってスピンドルの扱いがさらに難しさを増す事になりました。 きわめて高性能のスピンドルを組み込むTD124は、当社のレストアしたもの以外はその性能を十分発揮できないのではないかと危惧されるのです。 
レストアを行っていないTD124に組み込んでも、思ったほど効果が上がらないという事態が発生する可能性があります。
そこで、このユルク氏の超精密センター・スピンドルを、当社の販売するTD124のどの機種に組み込めば最良の結果を得るか、TD124モデル全体のコンセプトの見直しを図り、新たなモデルを製作する事にしました。

Mk.1
 
スペシャルリフレンスとして超精密センター・スピンドル+非磁性体プラッター+アイドラーホイール・ノイズ
   リダクションキットを組み込んだ高性能モデル
 非磁性体プラッターを搭載せず、オリジナルプラッターを組み合わせたスタンダードADVANCE

Mk.2
  
TD124Mk.1-EMPORIUMシリーズと仕上げを同等としオリジナルアルミプラッター+超精密センター・スピンドル
   +アイドラーーホイール・ノイズリダクションキットを組んでMK.2としての最高の性能を目指したEMPORIUADVANCE

以上三機種を導入しTD124のラインナップの充実をはかりました。 これらのシリーズはいずれも超精密センター・スピンドルの高い能力を前提として開発されたものとなっています。
その再生音はいずれも地に足のついたHiFi的な音を目指し、TD124の新しい可能性を求めた結果、きわめて高性能な品質と同時に、ヒアリング上の周波数特性のフラット化を目指し、それによりかえってTD124の明確な音が姿をあらわす事となりました。



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ユルク・ショッパーの超精密センター・スピンドルについて