TD124Mk.2のモーターはMk.1に比べてその材質と重量が少々異なっています。 しかし、このモーターはMk.1・2共同形ですのでレストア方法は同じように行っています。 今まではそれで何ら問題は無く、あくまでMk.1のモデルチェンジされたものがMk.2であり、Mk.1の延長上にあるものとしてとらえていたのです。 もちろん、TD124型という型式のプレイヤーにおいて、Mk.1とMk.2は同系統でありながら、その再生音はそれぞれ独自な部分を多分に持ち合わせているのは当然であり、レストアに当ってはそれぞれの長所を生かす様にリフレンスし出荷してきました。 依頼されるレストアのMk.2の数が増え、Mk.2にいろいろなバリエーションがある事がわかってきました。 このことについては、ホームページ上で
公開しておりますのでそちらを参照してください。
Mk.2も中期になるとほとんどMk.1の影響がみられなくなってきます。 各パーツは完全にMk.2専用となり、音質的にもMk.1から独立した独自のものとなっています。 考えるに、この中期から最後期までのMk.2に関してはモーター本体のレストア方法と調整を、Mk.2専用の手法に変えるべきでは無いだろうかと、そうすれば、Mk.2としてさらに完成されたものになります。

Mk.2中・後期専用レストア編 モーター部
TD124のモーターは組立用の4本のボルトにモーター上部からステーでのばされたモーターつりさげ用シャフトのみで組上げられています。 この4本のボルトのうち2本は上部にモーターつりさげ用のシャフトを持ち、ステーからのばされたモーターつりさげシャフトとあわせて、シャシー上面で三角形でアイソレートゴムを介して取り付けられています(このモーター部のレストアにつきましてはホームページ上を参考にしてください)
このアイソレートゴムは防振、吸振等の効果はあまり期待できないのもので、モーター本体の良質の振動と動作にTD124の性能の大半がかかっているわけですが、問題はその振動パターンをどう変化させるかというのが
Mk.1
のモーターにおいては4本のボルトすべてに振動のピーク音をうけもたせ、振動の回折、打ち消し等を行わせていたのです。 それはMk.1のモーターは割合、振動波の長めのものであったから、又、動作音も音程的に低めのノイズを発生するタイプであったからでした。 Mk.2中期のこのモーターは振動波も短く、動作音もMk.1にくらべて高いのが特長です。これらは材質の変化によるものか、ローターの重量の問題です。 これらを考慮し再考した結果、モーター本体の振動パターンをMk.2中期型においては変更する事にしました。 TD124のこの長方形のモーターはMk.1においては振動波はいわば長短、双方の側面を伝わりながら、長短のモーターの形を利用し振動波をコントロールし4本のボルトは一部分的にアースポイントの役割をはたしています。 Mk.2においては、この4本アース的な構造手法をとらずモーターの振動パターン波をモーターつりさげシャフトの無い反対側の2本のボルトに集中させる事にしたのです。 
この様な事を行ってもこの時期のMk.2においては何ら問題もありません。
しかし、この作業を行うにはモーター本体の回転ノイズ・振動を極力おさえておかねばならないのは当然の事であり、モーター本体の基本性能に基づいたものであるべきなのです。 この作業工程においては、実はモーター内部に又、別の技術的な手法を取り入れたのですが、この事項を書き表すにはかなりの紙面と能力が要求されるため、ここでは述べません。 この新しいやり方で組まれたMk.2中期型の音は、今までのMk.2の音の概念を訂正しなければならないのではと思わせるものでした。 それまでのMk.2はアルミプラッターを用いたタイプでは華麗で明快、ステレオチックな音場を見事に演出していました。 また欠点としてはMk.1にくらべやや時にドライに響くというものです。 
しかし、今回はMk.2に対してまったく別の評価を与えなければならなくなりました。 落ちついた、しっとりとした音は、
これがMk.2?とはじめは信じられない音でした。 渋さと華やかさが絶妙のバランスで展開され、バランス的にもしっかりとしています。 しかし、今までのMk.2が持っていた音色の変化に対する反応の早さという点から言えば、音の面白味、けれんみが減衰し、ものたりなさを感じるかもしれません。 これ以外をのぞけばまったく今までにないMk.2の音をきく事ができました。 総合的にみて、Mk.1とは別な大人の音であるといえるでしょう。



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トーレンスTD124 Mk.2
中期・後期型のモーター部のレストアと可能性について