トーレンスTD124Mk.1・2共、現役で使用されていもの、オークションで買われたもの、以前にくらべてより多くのTD124が
見られるようになりました。 価格も以前より上昇しており、この先よいものはさらに値上がりを続けるのではないかと思われます。 今までは修理不能であったものが、現役で使用でき、なおかつTD124の現在発売される新型プレイヤーにない良さがインターネットや口コミで伝わりはじめたようです。 レストアしたTD124は、いずれもユーザーに好感をもたれており、特に今まで修理不能と思われていたプラスチックスピンドルボックスを修理調整し、完動させることに成功したのは初期型のTD124にとって福音的効果をもたらしました。 また、ユルク・ショッパー氏の開発したオリジナルパーツとオプション品はユーザーにとってTD124をさらにグレードアップさせ、オーディオ的な楽しみをもたらしました。 現在ご自分のTD124を、
どのようにメンテナンスを行ったら良いかわからず、レストアを依頼される方からの戸惑いが伝わってきます。 
そこで今回はユーザーの方々がご自分のTD124が、現在どの様な状態であり、レストアすべきか否かのヒントを書いてみます。

@モーター動作チェック

プラッターをはずし、駆動用ゴムベルトをはずします。モータープーリーを手で回転させ、その回転速度の減衰を
チェックします。

3秒ぐらいで止まるのは失格で内部のよごれと部品の劣化により、要レストア
6秒ではオイルの注入により回転する可能性はあるがだめな場合は要レストア
10秒回るものなら、まだ大丈夫ですがモーター側のシャーシーに耳を付け、ゴトゴト・シャリシャリ等の異音があったら
要レストア。 この場合、正常な回転はしますが音質上TD124の良さがほとんど出ません。

Aステッププーリー・アイドラー部
すべてシャシーより抜き取り、オイルを注入します。 ステッププーリーはクリーニングで大体回復しますが、アイドラーのゆがみ、または回転不良等、この場合ゆがんだものは交換、回転不良は回転軸のクリーニングが必要。

B駆動用ゴムベルト
のびたり、弾力のないものは不可。 新しいものでもオリジナルに準じていないものは良い結果は得られません。
なかには細めのベルトを使用したものも見かけますが、これは他の機器からの琉用品であり、もちろん不可です。

C回転スイッチがかたい
これは要レストアです。 この原因は花型進行ガバナー、つまりアイドラーを上下させる部分と組合わされており、
ガバナー、シャシー取付部が不要なオイルの使用、または経年変化により癒着しており、即レストアすべきです。

D電源がついたり切れたりする
これは電源ポイント部の汚れによるもので修理にはベンジンでのクリーニングが必要ですが、素人には無理なので
レストアすべきでしょう。

E回転スイッチを動かしてもアイドラーが所定の動作をしない
これはシャシー下部、トランスミッションすべてに関わってくるもので、クリーニングで元の状態にもどす事は可能ですが、なかなかの労力を要しますのでやはりレストアをした方が無難でしょう。

F回転スイッチ切換時にショック・ノイズが出る
ポイント部に取り付けられたノイズカット・コンデンサーの経年変化による不良の原因です。 交換すれば直りますが、
ここまで使用されたTD124はすでにレストアの対象になります。

Gセンタースピンドル部の不調
TD124のセンタースピンドルは底部金具類のアッセンブリー交換が可能であり、これらは重量のあるプラッターによる
アクシデント等において、スピンドルボックスの破損を防ぐための構造になっています。 そのため必要以上の圧力をかけると変形し正常な回転に支障をきたします。 また、センタースピンドルボックスは無事でも、スピンドルが歪んでいる事があります。 プラッターが上下にピッチ運動をするのですぐわかります。 この事態に関しては、今のところ中古品に入れ替えるか、ユルクショッパーの超精密センター・スピンドルを組み込むしかありません。 これらの現象は、いずれも使用者の間違った取り扱いが原因のものでトーレンス本体のものではありません。

以上が主だったものです。 
TD124に関する情報は非常に誤ったものが多く、特にひと昔前にはTD124は正常回転まで30秒以上かかるとか、
定速回転数が狂うのは当たり前である等々、枚挙に上げればきりがないほどでした。 
その結果、TD124に関してはその実力がまだまだ認識されていないようです。 最近少しずつ誤った情報が正されつつあるのはオーディオレコード愛好家の皆様にとって、特に情報が少なくなったレコードプレイヤー分野において朗報であると思われます。



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トーレンスTD124 Mk.1・Mk.2の現状について