Mk.1、モーター内部ローターのセンターシャフトボールベアリングには2種類のものがあります。 
レギュラーサイズとラージサイズです。  なにゆえ、2種類のベアリングが存在するのかは不明なのですが、常識的に考えれば初期タイプがこのラージサイズで後にレギュラーサイズに変えていったと考えられますが、現物のTD124を見てみるとなぜか組み込まれている期間はランダムなのです。 しかし、比較的メタルスピンドルを使用したタイプのものに多く、Mk.1のモーターの中でも、このロータースピンドル上部にベークライトワッシャーがはめ込まれているタイプもあります。
このベークライトワッシャーはおそらくロータースピンドルが逆さになる場合、つまり組立作業時か又はそののちの取り扱いにおいてボールベアリングがセンターシャフト取り付け部からはずれないようにギャップを稼いでいるものと考えられます。
このベークライトワッシャーは1枚ではなく2枚組み込まれたものもあります。 これらを総合的に考えるとトーレンスTD124の販売に当っては組立時のボールベアリングの脱落、運送中の取り扱いによる脱落、使用者の手に渡ったのちの何らかの原因による脱落等、いずれかの問題が発生したのではないかと思われます。 そうすれば、このベークライトワッシャーの存在意義が理解できるからです。 すなわち、ラージサイズ・ベアリングの使用でベークライトワッシャー1枚、レギュラーサイズで1枚ということです。 これによりローターセンターボールベアリングの脱落を防止する事ができたのではと思われます。 このボールベアリングはある程度の使用期間をすぎるとシャフトに吸着しやすくなります。 それには組立時のグリスの使用が役立っていると思われます。 しかし、この現象が発生するまで、ある程度の時間を要しますし、トーレンス社においてその様な現象が発生するまで待つわけにはいかず、そのために考えられたものだと推測されます。 グレイのレストア法では、かならずオリジナルに準じたものでTD124を組立て、リファレンスしていますが、このモーター部においては
ベークライトワッシャーはモーター本体の性能上において不都合が生じる場合は外しています。 これを決定するには初回のモーター組立て、再度当りが出たのちの分解クリーニングの後の最終組立後のロータースピンドルノイズの有無により、ノイズの発生した場合にのみ行う作業です。 このラージサイズベアリングとレギュラーサイズベアリングはそれぞれその振動とそれに伴うモーター本体の鳴きが少々異なります。 ラージサイズの場合、動作音がレギュラーに比べてすこし低め(あくまで音程的にですが)になります。 振動振幅の波長もやや長くなり、わずかな抵抗の変化がその作動音に影響を与える事がわかりますが、いざシャシー本体に組み込まれてみると、不思議とその差異は感じられなくなります。 再生音においては、中低域がレギュラータイプにくらべややプログラムソースによっては、少々太くなる傾向が見うけられます。 しかし、これらはTD124Mk.1においての個体差の域を超えたものではありません。



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トーレンスTD124Mk.1のモーターベアリングについて