Mk.2の新しいレストア・チューニング技法に関しては、別項で解説をさせていただいていますが、今回Mk.2EMPORIUMの開発のいきさつ及び仕様について述べさせていただきます。
Mk.2 ADVANCEとは別項のレストア技術をさらに押しすすめ、Mk.2オリジナルの延長線上にありながら、さらなる性能向上の限界点までその能力の拡大をはかったシリーズです。 その高性能ゆえ、製作にあたっては極度の精神力の集中を要するため製作台数は年間2〜3台が限界であろうと思われます。 
このようなシリーズを作ろうと思ったのはMk.1にEMPORIUMが存在するのにMk.2には無いのは不公平ではないかと思ったのが発端でしたが、Mk.2 EMPORIUMはいかにあるべきかを考えた結果、ユルク・ショッパー氏製作のプロトタイプ、
超精密センタースピンドルを搭載すべきではなかろうかという結論に達しました。 しかし、この精密なユルク氏の
スピンドルの能力を最大限に生かすにはさらに高度なレストア・チューニングが必要であることは必然で、いわばMk.2 ADVANCEでは、この超精密センタースピンドルの性能の高さが求めた結果としてあったのです。
さらに新たにユルク氏の開発したアイドラーノイズリダクション・キットを組み込み、万全を期することに致しました。
しかし、いたずらに高性能のみを求めたものではなく、あくまで音楽的表現の可能性を求めた結果である事はその再生音をお聞いていただければご理解いただけると思います。 また、いかに高性能とはいえ安定感がなくては何もありません。針の上でダンスを踊るが如きではいたしかたないのです。 この点についても当社の今までの製品と同様、注意をはらっています。 このようなMk.2 ADVANCEですが、問題がないわけではありません。 そのグレードの高さゆえ、使用されるカートリッジ、アンプリファイアーに於いてクラス的に同等かそれ以上のものでないと効果は著しく落ちることになります。Mk.1 EMPORIUMのようにカートリッジ、アンプリファイアーに対してやさしく無いのです。 この場合でもそれなりの音は出ますが、Mk.2 ADVANCEは自分にふさわしくない製品を組み込まれた場合、そっぽをむいてしまいます。 
Mk.2 ADVANCEはそれなりのクオリティを使用する機材に求めます。 したがって、当社に於いて完全なアッセンブリーを施し、最適なアームとカートリッジを組み込んで販売することになりました。 もし、このMk.2 ADVANCEをお客様の購入の後に他の製品を交換し、組み入れた場合にはハイレベルの調整不可欠となる事、必須です。 
アームのオーバーハング、針圧調整、カートリッジの調整等それぞれが完全にバランスを整えなければ最良の結果を引き出す事はできないと思われるからです。

Mk.2 ADVANCEのヒアリング
Mk.2 ADVANCEの音質と表現力については、いわく言いがたい音でありオーディオ的表現等では語彙が不足しますので、比喩的表現を用いなければなりません。 そのためにはまずMk.1 EMPORIUMをこの手法で表してみた後にMk.2 ADVANCEについて述べてみたいと思います。
Mk.1 EMPORIUMはイメージ的に大地にどっしりと根をはり、大きく左に枝を広げ大きな果樹の如きであります。
時を経て、技には無数の花が咲きますがそれはそののちの結実への予兆としてのものであり、あくまで果実が主であり、果実の甘さを味わうべきであり、完熟した果実のもつ芳香とフルーティーな香りの如き趣きを持つものであります。
Mk.2 ADVANCEに於いては花は花であり、来るべき結実を待つより今の盛りの花の美しさを香りを味わい、咲く花の匂うが如きという陳腐な言葉が臆面もなく口に出るほどフレグランスにあふれた音と感じました。 製作した本人でさえ、このような効果を狙っての上での作業でありましたがMk.1の疎にして密という音に対して、密にして広の感があり、その絶妙な音を聴きつけているといつのまにか自分がその音の中に入りこんでいるのに気付き、改めて見回してみると密度の高い音も内に入れば自由で自在な空間と思えるから不思議であります。
リスナーをいつしか包み込み、それでいてなお自由な感覚をもたらしてくれる摩訶不思議な音なのです。



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Mk.2 ADVANCEとは