EMPORIUMシリーズのプログラムソースにおける多様性について、さらにそれを押し進めたのがユルクショッパー製作による非磁性体プラッターです。 オリジナルの鉄製プラッターでも十分な力を発揮しますが、皆様のご存知の通りマグネット吸着によえる針圧の増大、それに伴うひずみの問題が最大の欠点です。 これはなにもMC型にかぎった事ではなく、
MM型においてさえオリジナルの鉄製のプラッターから非磁性体プラッターに交換した場合、MC型ほど顕著ではありませんがやはり歪み感とトレース能力においてきわめて効果的です。さらにMC型、EMT、オルトフォン等においては絶大な効果が期待できます。 カートリッジの個体差や、カンチレバーの良悪、アームの調整の不具合などすべて自白のもとにさらけ出してしまいます。 それほどのポテンシャルをもっているのです。 しかし注意しなければならないのは、きちんと調整を行っていない124型ではその良さが裏目に出て124型の整備の不都合の部分を暴き出し、あまり良い結果をうることはできません。 あれこれ変えたからといって杞憂に音が良くなるという魔法のプラッターではありません。 その音質の違いはオリジナル製品では伸びやかな雄大な音といえますが、非磁性体プラッターに交換するとさらに音のスピードが増し、音場のクリアーさが際立ちます。 カートリッジが吸着から開放されるとこれほど伸び伸びと音が鳴るのかとびっくりすると思います。 音像の定位はオリジナルの中央の奥の深さを保ちつつ天上にぬけてゆく音の伸びが抜群で、ミキシングによるエコーの付け方が手に取るようにわかります。 音色はきわめて精妙なものでオリジナルのおおらかさに比べてやや智に勝ったものといえ、きわめて理知的な響きとなり、やや引き締まった音となります。 総じてパッションよりパトスを感じさせるものです。 ここの部分がユーザーにとって好き嫌いが分かれるかもしれません。
EMPORIUMシリーズはプログラムソースに対しては受けの姿勢が原則ですが、この非磁性体プラッターの使用ではもう少し積極的なものとなります。 すなわち入力信号に対してのアクションのスピードがきわめて早いためにこのような聴覚上の変化となって見出されると思われます。 それらは一重にマグネットの吸着とそれに伴うトレーシング能力の向上がもたらしたものといえるでしょう。
現在、ビンテージオーディオ等においては、粗悪な品物とあやしげな伝説とでも言うべきものが多々ありますが、このユルク・ショッパー製のプラッターはその価格に恥じない働きをするきわめて貴重な物のひとつです。
TD124のフルレストアにおいても身をもって経験をした結果で皆様にお勧めできます。
<BACK>
TD124EMPORIUMシリーズのステップアップについて