本機はTD124が18,000番台まで製造されたプラスティック軸受仕様からメタルスピンドルに移行した直後の19,000番台、メタルスピンドル搭載機としては最初期モデルです。 主たる回転機構部であるモータ・ステッププーリアイドラ―などはエンポリウム仕様と全く同一部品が取り付けられ、センタスピンドル底部のベアリングボールは分離型でエンポリウム仕様最初期と同じ形式です。 このようにメタルスピンドル最初期の珍しい仕様ですから、奏でられる再生音はどのTD124にも属さない独自性を持ち合わせています。 ヨーロッパ盤はもちろん、アメリカプレスの初期ステレオ盤まで時どな甘さと艶やかな音色で鳴らし切り、広い音場と透明な背後の静粛性から音楽的な意味でのSN比の高さが顕著です。 音楽の隅々まで明確に鳴らしわけてくれます。
こうした特徴はエンポリウム仕様には無いものであり、本機以後のTD124にも当てはまりません。 オーケストラではヴィオラが奏する長いフレージングなどは豊かさに満ちており、立体音響に即した音楽表現力は格別な力感でごく自然に呈されるのです。 一聴して実力が判ります。 ピアノは濁りの無いクリアな音で鳴ります。 もぐもぐした音は出てこないのです。 リズムの弾みも良く、伸びも十分にあり、広い音場で展開されるので嫌味な響きに陥らないのが長所と言えましょう。 弦楽器群、ヴァイオリンは空気を綺麗にサクサクと切り、キツクなることはなく抜けの良い音色なので金属的な響きにならずに楽しめます。 管楽器はアメリカ盤などをかけると明るく張り出しの良い音に腰の強さが感じられて、思わず体が浮きます。 倍音成分の拡散力が特有の魅力を演出しています。 
ジャズの再生にはなによりリズムの良さがあります。 スウィング感が安定していますし、サックスのブリブリぶりも大したものです。 リズムが他のリズムに移るときの反応力の速さも印象に残ります。 音がくるりと回るようです。 試聴に使用したVITAVOXコーナーホーンの低音部がエレクトロヴォイスのように音の底をえぐり出すように鳴りはじめたのには驚きました、S2ドライヴァがパリッと吹いたのはJBL375かと思うくらいです。 
ヨーロッパ盤のクラシックも聴いてみました。 低域と高域の伸びやかさがどのMk,1のメタルスピンドル仕様の製品とも一段も二段も違います。 あらゆる音が一瞬で分解されすぐに元の姿に戻る。 ハイスピードで。 これはMk.2の90,000番台 を最初にレストアした時に感じた音に近く、音がクリスタル系で響きはアポロ的。 
キャビネットは古いアメリカ製の良品です。 通常の米国製キャビネットよりも厚くガッチリとこしらえられており、本機のスピーカに対する音楽的駆動力(能率の向上となって再生音に反映している)がエンポリウム仕様と同じくらいの力を持っているのは、このキャビネットによるところが大きいと考えます。 

試聴に使用した機器はSME3009S2初期型およびSHUREM44-7、スピーカはWHARFWDALE SFB-3のペアとモノーラルはVITAVOX、アンプはブログでも紹介しています英国 iFi社製retro Stereo50という小さな真空管プリメインアンプリファイアです。 EL84PPの小さな出力でも、SFBはもちろん、VITAVOX-CN191やWESTREXの大型スピーカも、プレイヤの力に緻密さと大胆さがあれば、楽々とドライヴできるのは痛快です。
 以上レストア担当竹内記

保存状態良好で、もちろん再塗装はしておりません。 アッパープラッタはフラット、純正品とショッパー社製部品で調整されています。 尚最後の音質の見極めは、数度のアイドラホイールの精密研磨とセンタスピンドル軸受け部のアタリの微調整により竹内と阿部が納得するまで試聴を続けました。 ご試聴も大歓迎です。

ご購入後、欠品部品を手配したり、修理を依頼する必要のない、
ちゃんとしたモデルのちゃんとした状態のセットです。

このセットに相応しい、SME3009S2初期型と中期型の極上品(すべてオリジナル部品で改造や後発部品に取り換えられていないもの、ナイフエッヂの刃がかけていないもの、オリジナルアームケーブル等)も在庫していますので、ご希望の方はお知らせください。


TD124初期モデル(19,000番台) 
メタルスピンドル仕様 フル・レストア済 極上品

電話番号
0479-25-1140
+1960年米国輸入元製合板キャビネット
メールアドレス
greythorens@kind.ocn.ne.jp
販売中 販売済
5年間保証書 メンテナンス・マニュアル 専用オイル付
価格 370,000円 (消費税別 送料別)
TD124初期モデル(19,000番台) メタルスピンドル仕様 
フル・レストア済 極上品
+60年代米国輸入元製合板キャビネット

 


 
 
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